Mitte vol.5 2018年7月
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収穫されたアスパラガスは、およそ27センチの出荷サイズに切り揃えられる アスパラガスを栽培するハウスの中は、人の背丈にも届きそうに伸びた株に細い葉が一面に生い茂り、その株の根元にはみずみずしいアスパラガスがニョキニョキと顔を出している。 アスパラガスの成長は早く、芽が出てから収穫する大きさになるまでおよそ3日というから驚きだ。「1日に5センチから10センチも伸びるんですよ。収穫し終わったそばから、振り向くともう新しいアスパラガスの芽が出てきているんです。次から次へと生えてきて、日々忙しく収穫に追われてます」と優さん。この圃場では1日の収穫量は約15キロ、本数になおすとおおよそ500〜700本にもなるという。 優さんが栽培するグリーンアスパラガスは、2月終わりから5月にかけて収穫される春アスパラガスと、6月から11月にかけて収穫される夏アスパラガスがある。春アスパラガスは前年の秋から冬、じっくり蓄えた養分で育つため、甘みや香りが強い特徴がある。 それに比べ夏アスパラガスは、成長したアスパラガスの株が光合成で作った養分を受けて育つため、春アスパラガスに比べ柔らかく歯ざわ優さんの一日(収穫期)05:30 起床、朝食06:30 アスパラガスの収穫、選別08:00 JAへ出荷10:00 消毒作業など12:00 昼食13:00 他の農作業16:00 アスパラガスの収穫20:00 夕食23:00 就寝アスパラガス生産者長島  優さんながしますぐる 幼い頃より両親の営む農業に慣れ親しんでいました。 県立農業大学校を卒業後、平成24年に就農。アスパラガス13アールの他、米400アール、お茶200アール、肥育牛90頭、繁殖牛5頭、無人ヘリオペレータと手がける仕事は多岐にわたりますが、両親と共に、その日の作業によって手分けしながら日々汗を流しています。 趣味はスポーツ観戦。驚異の成長スピード!!アスパラガスの生命力りが良いのが特徴。また、アスパラガスにはアスパラギン酸という疲労回復効果がある栄養素が含まれており、これからの疲れやすい季節にうってつけの野菜だ。 本来は冷涼な環境を好むアスパラガス。温暖な気候である波佐見町で生産するには様々な努力が必要だ。「日々気をつけていることはハウスの温度管理と水分調整です。基本的なことですが、アスパラガスの栽培において欠かせないことです」と優さんは話す。 ハウスの中の温度をアスパラガスの生育適温に維持するため、ハウスの窓や入口の開け閉めなど常に気を配っている。就農して2年目にアスパラガスの栽培を引き継ぎ、今では優さんがしっかりと管理している様子がうかがえる。 さらに今熱心に取り組んでいるのが有機肥料の研究だ。 「化学肥料の方が手間もコストもかからないのですが、より生産性と品質を上げるため有機肥料を使用した土作りに力を入れてます。有機肥料は根への負担が少ないので、栽培面積はそのままに少しずつ生産量を上げることができるのではと考えています。なによりも土がふかふかとして気持ちいいんですよ。また、私のところでは牛の肥育も行なっているので、収穫で切り取った残りの部分を牛に食べさせ、巡り巡ってそれが良い有機肥料になります。うまく循環しているんですよ」と、話す姿はどこか楽しげだ。 長崎県のほぼ中央部に位置し、山々に囲まれた自然豊かな波佐見町。人気の波佐見焼はもちろん、美しい棚田など見所が多く、若い世代を中心とした町おこし活動も盛んな活気溢れる町だ。 この町で窯業と並んで盛んな農業。なかでもアスパラガスは名産品のひとつだ。今回取材したアスパラガス生産者・長島優さんはそんな波佐見町で日々のびのびとした環境のもと元気に取り組んでいる。生命力溢れる大地の恵み波佐見町のアスパラガス実物大のアスパラガス春アスパラガスと夏アスパラガスの違いアスパラガス栽培の工夫と循環型農業の実現成長が早い夏アスパラガス。ハウスの中は所狭しとアスパラガスが顔を出している

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