Mitte vol.3 2017年5月
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葉や茎を刈り取ったあと、機械でじゃがいもを掘り起こす 諫早市南部、島原半島へと続く国道251号。木々の間を縫うように車を走らせていると、視界がぱっと開けた。道路の両側に広がるのは深緑の葉を茂らせる段々畑。5月から本格的な収穫が始まった飯盛・有喜地区のじゃがいも畑だ。 橘湾を見下ろす総面積360ヘクタールという広大な畑には、300戸以上の農家がじゃがいも栽培を行っており、なかでもメークインの生産量は県内随一。ミネラルを豊富に含んだ土で育つ飯盛・有喜産のメークインは全国各地に出荷され、市場や流通バイヤーから、質・味ともに高い評価を受けている。 そんな飯盛・有喜地区で日々農業に励んでいるのが28歳ながら就農9年目の後田尚人さん。祖父の代から続く農家を継ぎ、冬から春にかけてはじゃがいも、夏から秋にかけてはにんじんを生産している。↘尚人さんの一日(収穫期)05:00 起床、朝ごはん05:30 畑に出て作業開始12:00 お昼ごはん13:00 畑で引き続き収穫作業17:00 出荷の準備20:00 夜ごはん 家族との時間、翌日の準備 ※繁忙期は食事後も出荷準備 ※たまに(?)若手農家たちと夜の  ミーティング24:00 就寝県内随一の生産量と高い品質!飯盛・有喜地区のメークイン 尚人さんが育てているじゃがいもは大きく分けて2種類。生産農家の間で『マル』と呼ばれる丸い形状の品種と、長楕円形で目が浅く、肉色が淡黄の品種『メークイン』だ。特にメークインは産地をあげて品質にこだわったものを作っている。 「飯盛・有喜地区は露地栽培でのじゃがいもづくりがほとんどです。根菜だからこそ品質と味、安全性に直結する土づくりには、力を入れています」と尚人さん。畑の状況をつぶさに観察しては、祖父の代から培った長年の経験と照らし合わせ、土の状態をよくするための緑肥を用いた土づくりや、排水をよくするために土壌深耕機を活用し、固くなった土をほぐす作業を行っている。 「どうやったらおいしいメークインができるかと、土のことなどを日頃から頭の中でグルグル考えてます(笑)。だから、半年かけて育てたメークインの大きさ、色つや、収穫量がイメージ通りだった時の達成感は『農家やっててよかった』と感じる瞬間ですね」と話す尚人さんの明るい表情は、農業の楽しさを表しているようだ。↖消費者に安全安心を届ける為に。「土づくり」にかける思い。次世代を担う若手農家が育てるメークイン 諫早市の飯盛・有喜地区で農業を営む後田尚人さん。祖父の代から続くじゃがいも農家の後継者だ。 飯盛・有喜地区は県内屈指の農業地帯で、なかでも特産品のメークインは県内随一の生産量を誇る。全国の市場や料理人から「旨い!」と言われるこの地区のメークインづくりを支える若き農家の姿を追った。じゃがいも生産者後田 尚人さんうしろだなおと 幼少の頃から祖父や父親が農業に励む姿を見ながら育ち、農業高校へ進学。卒業後、2年間の研修を経て就農しました。現在では農業の知識・ノウハウを生産現場の畑で学び取りながら、自身が第一線でじゃがいもやにんじんを生産しています。「まだまだ、学ぶことが多いです」と控えめながら、情熱的に農業に取り組んでいます。だたんこう

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