やってみよう!家庭菜園

 

「もぎたての味を楽しむトウモロコシ」

 

板木技術士事務所/板木利隆

 もぎたての新鮮な味は格別で、夏の家庭菜園の立役者、スタミナ源としても魅力です。糖分の多いスイートコーンの品種改良は急速に進み、平成の初めごろに比べるとビタミンB群やCが約1・5倍に増えている物もあり、栄養価の充実した健康食材になっています。

 イネ科の作物なので、野菜畑の連作障害を避けるための輪作に組み入れるにも好適です。

 高温性で昼は25~30度、夜は20~23度が適温で、10度以下の低温では生育がまったく停止し、葉が黄変、落葉してしまいます。畑に植えたが一向に伸びず、落葉、枯死するという声がよく聞かれるのは、苗が低温に遭っていたり、植えた畑が寒過ぎたりした場合が多いのです。これを水不足と勘違いして水をやり過ぎると地温がさらに下がり、過湿となり立ち枯れ病が発生したりして失敗を助長してしまいます。

 粒がぎっしり付いた良品を得るには、雌穂に雄穂の花粉が十分に付くことが大切です。そのためには株数をある程度多く、1列植えよりも複数植えにしましょう。少ない株数で花粉不足が懸念されるときには、開花した雄穂の下辺りを手のひらで軽くたたいて花粉を散らし、下方の雌穂に付きやすくしてやりましょう。

 葉の働き(光合成)を良くするために、下の方から出た脇芽は取り除かないで葉数を多くします。また雌穂は上の方の一番大きい1穂だけ残し、他の小さい雌穂は取り除きます。

 追肥は草丈40~50cmの頃と、先端の雄穂が出始めた頃の2回、化成肥料を与えます。施肥量の目安は、1株当たり大さじ1杯としますが、前作の残渣(さ)が多く、葉の緑が濃く旺盛に育っていたら適宜量を減らしてください。2回目の追肥の後、株元が小高くなるほど土寄せし、株元の不定根を多く伸ばし風で倒れるのを防ぎます。

 収穫は絹糸の先が黒褐色に変色した(受粉後22~26日)ころです。先の方まで十分膨らんでいることを確かめてからもぎ取ります。

 近くに異品種があると、その受粉によって雌穂の粒に花粉親の形質が現れます。これをキセニアといいます。例えばあまり甘くないスイートコーンの近くで栽培すると、味や品質が著しく低下してしまいます。

 交雑率は花粉親株と種子親株の距離が離れるほど低くなり、距離0・3mの平均交雑率は23%、10~50mでは0・1~0・3%と極めて低くなるという調査データがあります。参考にしてください。

 

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。

 

 

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