働き学んで 大きく成長 支援学校と連携し実習

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JAながさき県央は、県立希望が丘高等特別支援学校と連携して軽度の知的障がいのある生徒の実習を受け入れる。学びながら働く「デュアルシステム型現場実習」で、JAと特別支援学校が手がけるのは全国でも珍しい。生徒の社会的自立を図り、希望職種への就労を目指し学ぶ場を作り、地域に貢献する。実習後にJA職員となった卒業生もいる。

 

「清掃の仕事が好き」と笑顔で話すのは、大村中央支店で働いて6年目の山本清音さん(23)。同校卒業生で、実習を経てJA職員となった一人だ。「もっときれいに、丁寧に早くできるようになりたい」という思いで掃き掃除やトイレ掃除、会議室の机付拭き館内の消毒まで全て1人で担当する。

中村勉支店長は「前向きに明るく楽しく仕事に取り組んでいる。自分から気づいて動いてくれるのでとても助かる」と語る。

 

一般的に軽度の知的障がいの特性として、人とコミュニケーションをとることが苦手とされる。山本さんも当初、職員と話すのも緊張していた。現在、自ら職員や来店客にあいさつし話しかけられるようになったことは、大きく成長した部分だ。実習時から先輩職員にあいさつすることを教わり、今も生かせていると感じる。

実習で学んだメモをとることも怠らず、毎日の仕事内容を午前と午後に分けて書き、振り返る。心の余裕ができ、周りを見て動けるようになった山本さんは「今以上に自分から動けるようになりたい」と意欲的だ。

同校出身で今年度入組し、本店で清掃を担当する柴原和さん(18)も実習に参加した。「先輩職員が実習の時から丁寧に教えてくれて、とても助かった」と話す。

 

「デュアルシステム型現場実習」としてJAの総合事業を生かした実習に生徒は3年間で5、6回、清掃やAコープでの農産物の店頭販売などを行う。同校の山下真二主幹教諭は「実習を通してお客様や職員と会話ができる。仕事の体験を通して生徒は就労のイメージを持ち、自分の課題を発見・改善する機会となっている」と語る。

実習の受け入れを担当する総務部の江嶋光洋専任課長は「受け入れる側も働きぶりを見ることができて理解者が増える。今後も実習を継続し、雇用を増やして農家の労力軽減などにもつなげていきたい」と見据える。

 

9月18日(月)日本農業新聞掲載